2014年 センター試験の漢文

日曜日 , 19, 1月 2014 Leave a comment

以下問題文です。なかなか難しい。間違いあればご指摘お願いいたします。

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  • 問一

「尚」は「タットブ」と訓ず。

  • 問二

「好事者、目以清嗜、不靳方長」の返り点と読み下しを問うものであります。「靳」の訓み方は選択肢を見れば分る。どれも「とる」の義として訓んであります。問題は「方」と「長」でありますが、選択肢を見ると、「方」については「まさに」と「ならぶ」、「長」については「長ず」と「長し」の場合があり得る。「目以清嗜」はちょっと文法的には難しい。松下文法ではこの「以」を前置詞性単純形式動詞と分類し、「目」と「以」との関係を実質関係の連詞とする。これは何を問う問題なのかちょっと分りませんが、「長きに方(なら)ぶ」と読みますと意を為し難いとは言えましょう。長いのは伐らないと言いたいのならば、「方(まさ)に長ずるを靳らず」と訓ずるに及ばないと思う。「目以清嗜」は風流人なので長いのは伐らないが、見た目に悪くない小さいものをば嗜むということでありましょうか。そう考えますと、「故雖園林豐美、複垣重扃、主人居嘗愛護、及其甘於食之也、剪伐不顧」とは、見目よい小さな筍とあらば主人がどれほどその美しい庭園を大切にしておろうとも、構わず伐りとってしまうというのでしょう。しかし好事者も苦いものは食べないと見えて「獨其味苦而不入食品者筍常全(独り其の味苦くして食品に入らざるものの筍は常に全し)」とある。とにかく答えは5。この文章はとにかく良いものは土中に埋まっていようが取られてしまい、反対に悪いものはさかりであろうと誰にも取られず其の生を全うするという趣旨で一貫しておるのです。

  • 問三

「不収者必棄於(Ⅰ)者也(Ⅱ)者至取之」の「而」や其の後の「(Ⅲ)者近自戕(Ⅳ)者」の「而」が「しかるに」と訓むことは送り仮名からはっきりしておるわけでありますから、それぞれのどちらかが分ればもう一方も分るというわけです。この時点で選択肢の3、5、は消える。なぜならば、(Ⅰ)と(Ⅱ)とが同じであるからです。

しかしまだ選択肢は三つ残っておるわけでありますから、どう絞り込むか。まづ(Ⅰ)と(Ⅱ)とでありますが、人から収めれらずに棄てられる者は何かと考えるのです。反対に取られてしまう者は何かと考えるのです。この「取」は先に見た「靳」と同じであります。人に取られず捨て置かれるのは「苦」い筍であり、「甘」い筍なれば取られる。依って(Ⅰ)に「苦」が入り、(Ⅱ)に「甘」が入る。

次に(Ⅲ)(Ⅳ)を見ます。(Ⅳ)が簡単でありましょうか。「(Ⅳ)者雖棄猶免於剪伐」とある。この「猶免於剪伐」の解釈が更に問四の問題を兼ねておりますが、なんと言うことはない。「(Ⅳ)は棄てらると雖も」の部分が読めれば、棄てられるのは「苦」い筍である、と分る。「甘」なれば取られてしまう。依って(Ⅲ)に「甘」を入れ、(Ⅳ)に「苦」を入れればよい。「甘者近自戕」とはうまいために却ってその身を滅ぼすこと。答えは1、となる

  • 問四

「猶免於剪伐」の解釈の問題であります。「免」は「まぬかれる」の意でありますから、切られるのか、切られないのかで言えば切られないのであります。そうすると2、4、は消える。1はこう解釈するにはちょっと厳しい、「きっと~にちがいない」とは解せない。しかし3、は文法上そう読めなくもありませんが原文に返り点がありますからここでは「猶」が副詞でないことが分る。仮に副詞として「猶ほ剪伐に免る」と読み下し「苦い筍は捨て置かれると雖も、それでもまだ切り取られることは免れている」の如く解すれば解釈上も問題なくなる。兎にも角にも問題としてはこの「猶」は「如」に同じであります。3、が副詞として解してあるのに対し、動詞であります。「苦」い筍は捨て置かれるが、それは剪伐を免れるのに同じである、というのです。「如」は単に「の如し」と読み下しますが、「猶」は「猶ほ~のごとし」と訓む慣わしです。

  • 問五

理屈だけで申せばどの選択肢も絶対に間違いとは言えない。読み下しは一種の直訳であると雖も、直訳に馴染まぬ場合は翻訳することになる。「肉食者」は「食肉者」と語順は異なるが、「肉もて食らふ」と訓んだのでは日本語として分り難いので解釈上「肉を食らふ者」と読むことになるのに同理であります。依って文法のみでは解決できない。まづ解釈を立てるに如くはない。其の前の部分に「物はなんでも甘を尊ぶ、故に苦は顧みられず全きを得」とある。ここから「甘」は「貴」に、「賎」は「苦」に対応しておることを看取せば、「世莫不貴取賎棄也」は「世に於いては何でも貴いものが取り尽くされ、賎しいものが棄ておかれるものである」の如き意であろうと分かる。2、4、は禁止の意にとっておるから消える。5、は「不」の掛け方を誤っておる。「不」は「棄」まで掛る。無論、これは解釈から判断できることです。1、も解釈が文脈に合わない為消える。文法だけで言えばこの訓じ方も当然問題ない。

また「世莫不貴取賎棄也」を仕官のことに擬えて、世間では皆用いられることばかり尊び、捨て置かれることをいやしむ、の如く解してもよいが、その場合は「世に取らるるを貴び、棄てらるるを賤しまざるもの莫し」となる。

「貴取」「賎棄」はそれぞれ「S+V」の如く考えてよい。しかしなぜ「S+V」の上に「不」が来ておるのか。実はこれ「不亦君子乎」の「君子」の如く「貴取賎棄」が叙述性(山田文法に所謂陳述)を含んであるのです。「君子」が「君子なり」であるように、この「貴取賎棄」も「貴取賎棄なり」であります。以下の如きも同然。

是不亦責於人者已詳乎 (韓愈・原毀)

是不亦排之者未必得其道乎 (藤田東湖・弘道館記述義)

  • 問六

「オ」以降、話が物類一般に及ぶため、オがひとまづ一段落となることは分かる。そうしますと後はアからエまでのどこを以って二つに区切るかと言うことになります。アは筍が取られ調理される段で、イウエ皆甘苦の筍の顛末、結局アとエとで三等分することになる。

  • 問七

「豈荘子所謂以無用為用者比耶」の読み下しと解釈を問うものであります。「豈」は思惟の反省を表す記号でありますから、まづこれが反語か強意の疑問に留まるかをを判断します。どうやるか、文脈から判断するしかない。舟を作るにも直ぐ沈み、棺おけを作るも直ぐ腐り、柱にしても直ぐ虫がわく、そんな木は誰にも用いられずに樹齢を伸ばすが、却って大用を為す。其れと同じく、筍も苦ければ取られぬ、使いようの無いものだからその生を全うする。これぞ荘子の所謂無用の用なるものでないか、確かにそうである、というのです。この解釈あって後、「豈荘子所謂以無用為用者比耶」の句が反転せず、強意の疑問であることが知れるのです。ただこの解釈をするのに「無用の用」くらいは知っておかなければならない。然るにこの問題はそんなことではなく、単に句形の知識を問うたものかも知れない。即ち「以~為」が「~を以って~と為す」であることを知っておれば5、がすぐに択べる。

ちょっと文法的なことを言いますと、「荘子所謂以無用為用者」の全体が名詞です。直訳的に読めば「荘子のソレヲ無用を以って用と為すと謂うところの者(=ソレ)」であります。次に「比」の訓でありますが、選択肢を見ると「たとふ」「くらぶ」「たぐひ」となっておりまして、動詞か名詞かの違いはありますが要するにA(貴取賎棄)をB(荘子所謂以無用為用者)に相対せしめるという本質的な点に於いて差はない。依って「荘子所謂以無用為用者」と「比」との関係を修用関係(*)と看做そうが、連体関係として看做そうが、それは読者次第であります。すなわち動詞として「豈に荘子の所謂無用を以って用と為す者に比せんや」と訓もうが、名詞として「豈に荘子の所謂無用を以って用と為す者の比ならんや」と訓もうが、どちらでも大差ない。

(*)客体的提示語の修用関係 (例) 何必公山氏之也 (論語)

「之」は形式名詞で有っても無くてもよい。上語を再示しておるのみ。

1、の選択肢は反語でありますから駄目です。AをBに比することができるか、いや出来ない、としてしまっておるのです。

2、は一見よさそうであります。AはBに比することができると言うておる。しかし後半が駄目であります。「取られて不運な境遇に陥ることあり、棄てられては其の生を全うするあり(取者之不幸而偶幸於棄者)」とはありますが、役に立たないことを自覚してこそ世の役に立つとは書いてない。「苦者雖棄猶免於剪伐」、「苦者得全」とある如く、積極的に用を為すとは言ってないのです。ただ苦かったため運よく取られずに済んでおるばかりです。

3、は「荘子の考え方に反論している」とあるから駄目。A≠BではなくA=Bとある内容でなければならんのです。この「豈」は反転を表しておるわけではないのです。

4、もAとBとの不一致を述べてあるから駄目。ということで答えは5、であります。

5、は用なければこそ天寿を全うするとあるのみで、2、のように積極的に役に立つというのとは異なる。甘い筍は取られると雖も人の食に供せられ役に立っておる、反対に苦い筍は取られずに其の一生を全うすると雖も、誰の役にも立っておらないことに注意。さらに言えば、より甘いタケノコがあるためにより苦いタケノコが取られずに助かっておるのでありまして、うまいタケノコが不足し始めれば、苦いタケノコも無事では済まない。


【追記】

センター漢文 追記

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